成長戦略を描いていたセントレアの誤算~FDAの急成長~
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2017年7月7日。この日の中日新聞の朝刊に興味深い記事がありました。

 

愛知県営名古屋空港や静岡空港を拠点にする地域航空会社フジドリームエアラインズ(FDA、静岡市)の三輪徳泰社長は六日、中部国際空港(愛知県常滑市)への就航について「今のところ考えていない」と説明した。一方、名古屋空港での路線拡大や増便は、中部空港への「一元化」を目指す県側が難色を示しており、同社の中京圏での事業拡大は難しい状況になっている。

 

関東や関西には就航していないので大都市圏にはおそらく知名度が低いであろうFDA。

なぜ私が興味を持ったのか、2015年に開港したセントレアの成長戦略を軸に考えたいと思います。

FDAに興味がなかった方も、この機会に興味を持っていただければと思います。

 

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そもそもFDAとは?

フジドリームエアライン、通称FDA。

2レターコードはかつて旧日本エアシステムの子会社であったハーレクインエアが使用していたJH。

静岡の物流メーカー「鈴与」が出資、子会社として2008年に設立。

2009年に静岡空港から初就航した航空会社です。

2010年に名古屋飛行場、通称県営名古屋空港へ拠点を移し、名古屋空港から9路線、静岡空港から3路線、松本空港から2路線を運航しています。

 

www.fujidream.co.jp

 

JALやANAのように上級会員システムはありません。

また、JALのファーストクラスやクラスJ、ANAのプレミアムクラスのようなシートもありません。

じゃあFDAが愛されるのはなぜか。

それは直前でも比較的お得な航空券と機内サービスだと思います。

ドリンクサービスはKALDIコーヒーを始め、全シートでドリンクを提供します。

時間によってはパンやお菓子、ういろうなども提供されます。

 

www.fujidream.co.jp

 

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セントレアの誤算

ここからが本題。

セントレアの誤算とはなにか。

それを語るには、まずは旅客数のデータから見ていきたいと思います。 

 

セントレアと名古屋空港の旅客数の比較

セントレアは2005年に開港し、今年で12年目。

旅客数の推移は、開港10年のときにまとめられた資料ですが、このような感じ。

開港3年間は順調でしたが、2008年のリーマンショック以降は1000万人を下回っています。

セントレア公式ページによると、2015年は1042万人、2016年が1096万人。

まだまだ開港当初のレベルに戻っていないのが現実です。

 

f:id:resortmiler:20170707224145p:plain

引用

 

一方の名古屋空港の旅客数を見てみましょう。

名古屋空港と言っても、定期便を運航しているのはFDAのみなので、FDAの実績が名古屋空港の実績です。

 

2010年は数万人からスタートしたFDAですが、2016年には88万人に到達しています。

6年間で10倍以上。

さらに2018年以降は毎年1~2機ずつ増やしていくらしいです。

 

ここまで成長する航空会社ってなかなかないですよね。

例えば、比較的規模が大きいスターフライヤーの保有機材数は10機。

もちろん、FDAの機材は小さいですが、機材数だけで見るとスターフライヤーを超えています。

 

参考までに、愛知県が想定していた名古屋空港のキャパは43万人/年。

すでにキャパの2倍を超えています。それだけ成長したということですね。

 

http://chuplus.jp/pic/115/o/471429_0_01.jpg

中部空港に就航「考えていない」 FDA社長が方針 | 地方経済面 | 朝夕刊 | 中日新聞プラス

 

セントレアと名古屋空港。どちらも名古屋近郊の空港なので、参考までに2016年の実績を合算してみましょう。

セントレアが1096万人、名古屋空港が88万人、合計1184万人。

 

実は合計すると2006~2007年のセントレア開港当時の実績には戻っているんです。

ちなみに、2005~2006年は愛知万博「愛・地球博」が開催され、多くの旅行者がセントレアを利用した年です。

 

2015年の時点では、FDAのセントレア就航が示唆されていました(FDAの当時会長発表)。

FDAがセントレア拠点(せめて就航)とするのであれば、セントレアとしては「リーマンショックで苦しんだが、開港後10年で過去最高水準に戻し、さらに成長を続ける」と言えたはずです。

ここで、冒頭のFDAの社長の言葉に戻ります。

「中部国際空港(愛知県常滑市)への就航について今のところ考えていない」と。

セントレア側としては「えぇぇ?!?!」って感じですよね。

 

羽田空港の国際化

本テーマから外れるため、今回は詳しくは書きませんが、羽田空港のも成長戦略を期待していたセントレアの誤算の一つです。

この記事に興味を持っていただける方がいらっしゃるのであれば、次回作としてまとめたいと思います。

 

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ANA、JAL、FDAの比較

せっかくFDAについてまとめたので、セントレアまたは名古屋空港に就航するANAとJAL、FDAについて比較してみたいと思います。

空港 ①ANA ②JAL ③FDA ④JAL+FDA
千歳 6(9) 5   5
女満別 1      
旭川 2      
函館 1(2)      
青森     3 3
花巻     4 4
秋田 2      
仙台 4(7)      
山形     1 1
新潟 2   2 2
成田   2   2
羽田   2   2
出雲     2 2
松山 4      
高知     2 2
北九州     1 1
福岡 5(10)   5 5
大分 0(3)      
長崎 3      
熊本 5   3 3
宮崎 4      
鹿児島 6      
那覇 3(4) 4   4
宮古 1      
石垣 1      
就航都市 17 4 9 13
便数 50(66) 13 23 36

 *ANAの( )内は、IBEXやスターフライヤーを加えた人数。

 

こうしてみると、③FDAは①ANAには及ばないものの、②JALは超えています。

なお、JALはFDAの青森、花巻を除くすべての便でコードシェアしているので、FDAにJL便名で搭乗することができます

なので、④JAL+FDAを計算してみたところ、ANA便の半分は超えてきました。

FDAの成長戦略を考えると、5年ほどしたらJAL+FDAのタッグがANAを超えているかもしれません。

なお、JALがコードシェアしているJL便は、JALの特典航空券として搭乗することが可能です。

JALのマイルが余っている方は、FDA便を選んでみるのも面白いかもしれません。

FDA便は電話予約のみですのでご注意ください。

JALマイレージバンク - フジドリームエアラインズ(FDA)とのコードシェア便が国内線特典航空券の対象に!

まとめ

今回はFDA関連で興味深い記事がありましたので、セントレアとの関係も考えながらまとめてみました。

FDAの機材は80席程度のエンブラエル社製ERJ170かERJ175を採用していて、上級クラスのないのが欠点ですが、高知から青森へ行く、というときもANAやJALを使わずにFDAだけで乗り継ぎが完結できるなのど、メリットはあると思います。

FDAと言えば、特徴的な機体の色。

現在、1号機~11号機の11機が日本の空を飛んでいますが、全機体の色が異なります。

今、HPでは2018年3月就航予定の12号機の抽選の案内がされており、間もなく抽選が始まります。

自分たちが色を選んだ機材って、なんとなくワクワクしますよね。

今後、もし名古屋へ来る機会があれば、「FDAという選択」も候補の1つに入れていただければと思います。

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